絶賛Amazonプライムで見れるこちらの映画は一言でいえば1960年代の黒人の苦悩と交流です。
あらすじ イタリア系白人の主人公が著名な黒人ピアニストに運転手兼生活補助として雇われることになったが、なんとまだ黒人との差別が強く残る北米横断ツアーをする予定であった。
主人公とピアニストの長い旅を通じて交流を描く物語である。
まず主人公は今までクラブやバーなどでウエイター兼用心棒をしていますが、黒人の使ったコップを捨てるなど典型的な1960年代の白人男性として登場します。
今回運転手として雇用されたのも用心棒を辞めてお金がなかったからです。
こちらの映画で特に面白いと感じたのは、主人公の白人男性のほうが学や品位にとぼしいような形で描かれており、逆に黒人男性のほうはとても紳士的でお金に困っていないように描かれています。
ほかの映画では白人が格式的に上で、黒人が貧困者として物語に登場することが多いのでまずそこに目を奪われます。
白人男性の名前をヴァレロンガ 黒人ピアニストがシャーリー この二人は確かに正反対の性格です。
ヴァレロンガは特に今までの仕事柄暴力などに慣れており、行動もガサツ。
シャーリーはやはり著名なピアニストらしく、すらっとしており行動もスマートです。
この映画で強く学んだのは人種で人をくくるのはあまりにも狭い世界になってしまうということ。
シャーリーは招待されているピアニストにもかかわらず、トイレが動物小屋であったり泊まれる場所は汚い場所しかなかったり、バンドメンバーと食事も一緒にできません。
そんな中でも自分の腹に落とし込み、決して暴力に訴えることはありませんでした。
映画に出てくるセリフの中で特に印象に残ったのが、「暴力で勝るな、品位で勝れ」です。
この言葉を聞いてはっとしたのが、キング牧師やガンジーなどがあそこまで神聖視されているのはまさに品位で誰よりも勝っていたからだと思います。
さかのぼれば、釈迦であるブッタやイエス・キリストも暴力ではなく品位で相手に勝っています。
暴力で勝ち取った権力は確かにすぐに得ることはできます。
しかしながら逆に奪われることも早く、奪われることにびくびくしながら生きることになります。
品位で勝ち取った権力は心が自由です。 品位で勝ることはまさしく心の束縛からの自由でもあると思います。
最後のツアー場所では、シャーリーがヴァレロンガやバンドメンバーとレストランで食事ができないために演奏を取りやめることになりました。
ただし、その前のシーンではホテルのオーナーより100ドル払うからシャーリーを説得してくれとヴァレロンガに依頼します。
そこでひどく激高したシーンはお金よりも友人をバカにされたことによる激高でした。
最初はお金のために仕事をしています。 もちろん家族を養うのにはお金はとても大切です。
100ドルであれば、1960年代ですから、大金です。 そのお金に対して激高するということがヴァレロンガの品位が高まっているからだと思います。
ホテルから出た後に黒人の割合が多い、レストランにて二人で食事をしました。
そこにいたのは音楽を純粋に楽しむ人たちです。 しかしながらシャーリーが財布の大金を周りに見えるように取り出してしまったため帰る途中に襲われそうになります。
ヴァレロンガは銃を取り出して追い払います。今回は黒人に襲われそうになりましたが、お金を強盗するのに人種は関係ありません。
アジアもアフリカも欧米も関係ないのです。 貧困は人種でくくるものではない。品位も人種でくくれません。
グリーンブックとは実際にあった黒人が泊まれる場所、食事できる場所が網羅されている旅行マップです。
今の世の中は多様性が叫ばれ、インターネットで言葉の暴力が飛び交っています。
そしてグリーンブックのように勝手な判断で人をくくり自ら品位を落としています。
暴力とはなにも手を出すだけでなく、人の心を傷つけること・相手の言うことを論破して優越感を感じることも一種の暴力です。
自分の品位を落とさずに生きるために、周りに感謝をして心豊かに過ごすことが何より大切であると学んだ映画でした。
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